ケーキハウス・ツマガリ:甲陽園のお菓子工房

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ツマガリ社長について

講演内容

「商品の力、ケーキハウスツマガリ」商業人の総合雑誌「商業界2004・9月号」より

「商品力で9割が決まる」「1年で大きな成果を得ようとするな」の哲学が生んだ、5年間で55%増収。

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本店のショーウィンドウ

兵庫県西宮市の甲陽園は、芦屋、苦楽園にほど近い、古くからの高級住宅街である。阪急甲陽園線・甲陽園駅から徒歩2分のところに17坪の本店を構え、本店だけで年商9億円(通販含む)を稼ぐ「ケーキハウスツマガリ」。
オーナーの津曲孝社長がこの地に店を開いたのは1986(昭和61)年。店は半地下にあり、正面に車が1台止まると外から見えなくなってしまうという悪条件。近辺には競合店も多く、専門家からは「この場所で菓子店は無理。1日10万円以上は絶対売れない」とくぎをさされたほどだ。
オープン当初は1日8万〜9万円の売上が続いた。しかし、津曲社長はそんなことは全く意に介さなかった。
事実、ツマガリは18年間に甲陽園本店のほかに、百貨店にテナント出店(3店)し、2004年6月期は年商18億5000万円と、この5年間で実に55%(!)の増収を果たしている。
「この味を何回も味わってからでなければ、原稿を書けない」と、ケーキの試食を勧められながらのインタビュー。以下、津曲社長の語りをそのままお届する。 (編集部)

極める
食べものは素材が味付けを表現してくれる

お菓子を追求していって商品力を高めたかったら、原料にさかのぼらないといいものはできない。コーヒー豆ならコーヒー豆の産地を選んで、それを自分で加工しておいしいお菓子を作るってことが大事。豆腐屋なら豆にこだわり、にがりにこだわらなければいい豆腐はできないですよ。
ウチは豆を挽く機械も自分のところで作る。機械を使うのはいい原料を作るためであって、作業性じゃない。甲陽園本店の周辺に工房を6つ造って、それぞれ10人くらいずつ職人が働いていますが、みんな私が一から教えて育てた子たちです。

商品開発は私が担当し、生ケーキは毎朝、試食してからでなければ売場にだしません。例えばグレープフルーツゼリーの原料は、カリフォルニア産のグレープフルーツ果汁を絞って作っています。瓶詰めのジュースを使っていたら、私がどんな立派な言葉をしゃべっていても「無」です。
食べものは素材が味付けを表現してくれる。いい素材というのは、やたらいらんことせんでもいい。本当においしいお米は、おかずはいらんというくらいうまいでしょ。それと同じです。だから、本物の素材を手に入れるために、日本中、世界中を飛び回って探す。生クリームは九州の阿蘇、ワインはフランスの大粒の天日干し、バターは北海道の十勝で年間130トン作らせているといった具合です。

こうした原料を使ってマジパン、プラリネマッセ、ジャムなどすべて自社で作り、コーヒやチョコレートも豆から挽いて使い、ゼリー原料も生の果物から絞って使う。加工したものを使わないのは、素材が持つ自然な持ち味を最大限生かしたいから。
木イチゴジャムでも、木イチゴの風味が生きているふうに作らなければおいしいとはいえない。砂糖を入れすぎ過ぎたり、煮詰めすぎたりすると、素材の持ち味を殺してしまうのです。いい素材というのは補うだけでいい。
コーヒー豆を挽く機械も自社で考案し、水は地下50mからくみ上げた宮水を毎日ポリタンクに詰め込んで運んでいる。この水は生きた水です。 そんなふうに無心にお菓子を作って、無心の状態で食べてもらい、お客様に「おいしい」と喜んでもらえれば、本望だと思っているんです。

お客様から見た「価値」を18年間この店を徹底して大きくしなかった

商品力のあるもの、魅力のあるものを作っていればお客さまが納得してくれる。だから、大きな成果を初めの1年で得ようとしないことが大切だと思う。10年かけてお客さまに認めてもらうようでないと長続きしない。
私は、「商品力が経営の90%を占める」と考えています。商品に力があるというのは「命がある、生きている」ということですから。
お菓子におまけを付けて値段を上げるくらいなら、付けないほうがいい。趣味で付けるというならば、タダにすべきです。
ただ、極端に何でもタダにすればいいというのはアカン。差し上げるものでも、値段をきっちり付けて差し上げなければ、お客様に価値が伝わらん。試食していただく場合は、ケーキをまるまる1個、値段が分かるようにして差し上げる。試食はお客さまが喜ぶし、そうすることで、商品がなくなって売り切れるわけです。
10ある商品のうち6個しか売れなかったら、4個残る。それなら最初に7個試食に回して3個売ればいい。これを続けていると、3個が5個になり、6個になり、7個というように売れる数が増えていく。そうしたら、もう試食はしなくてもいいんです。
試食は作りたての一番新しいものをドーンとお出しする。古いのを交ぜたら無意味。やはり、お客さまが喜ばないと・・・・・・・。

商品開発も同じ。前向きにお客さまのためと思うとアイデアがわいてくる。資金繰りばっかり考えていると、アイデアは浮かばない。いい商品を作って回していれば、金が勝手に回ってくる。ウチのような店は利益をやたら出す商売ではないですから。
ものを売って真価が問われるのは、お客さまから見て付加価値があるかどうかだと思う。付加価値というのは、商品の価格以上に値打ちのあるものが付加されたとき「付加価値がある」というのが正しいと思う。
商品は、安いから価値があるのではない。お客さまが見て、欲しいと思ったものの価格がリーズナブルであること、それが価値なんです。
大事なことは、欲しいと思うものに価値があることであって、そこが明確にされないと商品力につながっていかない。私は、いいものを作ることを生きがいにして40年間修行してきました。その中で社員や取引先、お客様などとつながりができて、チャンスに恵まれてきた。いいものを作ろうというときには、純粋で素直な心でないと見えなくなってしまう。素直な心でないと、神様は知恵を授けてくれない。

開業して18年間、私は徹底的にこの店を大きくしなかった。それは、小さくても私の目が届き、お客さまの感動の声がじかに聞けて、売れ続ける店でありたかったから。段取りの悪い商売をしたいと思ったんです。
18年間変わってないということは、18年前この店でアルバイトしていた子が結婚して子供ができ、中学生になった子供を連れてこの店に来たとき、同じ店、同じ菓子がそこにあれば、なつかしくてホッとすると思うんです。
商いというのはもっと楽しく、人を和ますものであっていいと思う。あまりにもビジネスでとらえすぎていると思う。コンピュータは利用しますが、私にとって主流ではありません、あくまでもサポーターです。
とにかく、これからの日本は自分で作物を作っていかないと、豊かになっていきませんよ。

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